『ジャクソン』
信号
春、そんな季節でもモーニング娘。はお仕事。
移動車の中が唯一ゆっくりとできる瞬間でもあった。
そんな移動車で事件は起こった。
子供チームの移動車に乗っていた吉澤が突然大きな声を上げた。
「り、り、梨華ちゃんが黒くない!!」
吉澤は、移動車の中で、何かの間違いで紛れ込んだアイドルのゴシップ雑誌の中の1つの記事を見つけてしまった。
それは石川の小学校の卒業写真だった。
記事は石川の当時の体系や友人関係のことを、おもしろおかしく書いていたようだったが、吉澤はその当時の石川の写真に、釘付けになっていた。
色黒をネタに、笑いをとっていた石川の肌が、白かったのだ。
ただそれだけのことである…しかし。
吉澤は移動車の中にいた五期メンと、辻加護にその記事を広げて見せた。
「ねぇねぇ、これ見てよ!梨華ちゃんが白いんだよ!」
大げさなくらいのリアクションで、吉澤はみんなに言った。
横にいた高橋がその記事を見て言う。
「でも〜、それ昔の写真じゃないですか〜、昔は白かったんじゃないですかね〜」
「ちげーよ高橋、人間の肌の色は成長だけじゃ変わらないんだよ。
それで問題になってるスーパースターもいるんだから」
吉澤はどこかで聞いたことのある例を出し高橋に説明していた。
「マイケルは、嘘なんかついてない!
あれは病気なんだ!!」
そんな中、辻がふざけながら言った。
「なんだか、今と顔も変わってるみたいれすね」
「ほんまや、梨華ちゃん整形してんでー」
記事を見て笑っている2人に吉澤は強い口調で言った。
「ふざけてる場合じゃない!!」
しーんとする車内。
ドライバーさんも空気読んでか、黙ったままだ。
「これはモーニング娘。の危機なんだ!
このままじゃ、前忠や、梨本あたりに梨華ちゃんの秘密が暴かれちゃう」
「はぁ?よっすぃ〜なに言うてんの?意味わからんで?」
「そうれす、よっすぃ〜なに言ってるのか分からないのれす」
のほほんとそう言う2人を、吉澤はにらみつけて言う。
「特番で放送されてからじゃ遅いんだ!
これは、マスコミとあたし達との戦いなんだ!!」
そういった後、吉澤は声を荒げて言う。
「事件は三流雑誌でおきるんじゃない!緊急特番でおきるんだ!」
吉澤のどこかで聞いたことのあるセリフも、辻加護の2人は頭に?マークを浮かべ、しきりに首をかしげていた。
それは五期メンも同じだった。
(だめだ。こんなことじゃ、モーニング娘。は、前忠や梨本あたりによって解散に……。)
そう思いながら、吉澤は、周りでのんきにおしゃべりを再会させたメンバーを悲観の目で見た。
(ここはあたしががんばろう。
梨華ちゃんを守れるのはあたしだけだ。
たとえ2回だけ整形してたとしても、たとえ皮膚の色を変える手術をしてたとしても、あたしは梨華ちゃんの力になるんだ。
アメリカのスーパースターは周りに友達がいなかっただけなんだ。
梨華ちゃんはあたしが守る!!)
心の中でそう誓い、吉澤は前を走る移動車を熱い目で見つめた。
その時、ふいに吉澤の肩に手が置かれた。
吉澤が振り向くと、そこには紺野あさみの姿があった。
「吉澤さん緊急特番で石川さんのことが報道されたなら、私達で反論番組を作りましょう。
私は吉澤さんに協力します」
「紺野……」
吉澤は紺野の手をとると熱く握手を交わした。
「吉澤さん、ジャクソンさんの…いえ、マイケルのかたきは私達が取りましょう」
「紺野……。
よし!紺野、ネバーランドはあたし達が守るんだ!!」
「はい、完璧です!」
そう言うと2人は車の後部座席にいた小川と新垣を前の席に移動させ、後部座席へと移動した。
「梨華ちゃんは整形なんかしてないよ、大体そんな暇、いまのうちらにはないよな」
「そうですよ、だから石川さんの整形疑惑は……」
途中までそう言って紺野は黙り込んでしまった。
急に黙り込んだ紺野に、吉澤が聞く。
「どうした紺野?」
「いえ、吉澤さんこの間の休み、石川さん確か温泉に行ってましたよね」
「みたいだね、確か保田さんたちと…まさか」
「そうです、あれは実は嘘なんじゃ…」
嘘なわけはない、事実、その旅行によって卒業旅行という保田圭卒業に会わせた歌まで作られたのだから。
「そんな…。じゃあ、やっぱり梨華ちゃんは…」
「整形は術後のケアが大変だと聞きます。
鼻が崩れたり…。
でも大丈夫です。矢口さんや、保田さんに聞けばいいんです。
ホントに温泉に行っていたなら、2人が証明してくれますよ」
「そっか、じゃあさっそく電話してみる」
そう言って、吉澤は携帯電話を取り出し、矢口へ電話をかけた。
「もしもし矢口さんですか?」
『おう、どうしたよっすぃ〜』
「あのですね、この間、梨華ちゃんや保田さんと温泉行きましたよね」
『おう、行ったぞ。それがどうかしたか?』
「いえ、梨華ちゃんといっしょだったらいいんです。
矢口さんはきっとジャクソン兄弟のように、ちゃんと証言してくれるはずですから」
『はぁ?ジャクソン?
なんか今日はいつにもまして、おかしいぞよっすぃ〜』
「いえ、いいんです。私は梨華ちゃんを守ります。
前忠には負けません!!」
『なんだそれ?
そういえば、旅行の行き先決める時の石川もヘンだったけど、今日のよっすぃ〜はもっとヘンだぞ』
「え!行き先決める時梨華ちゃんの様子が変だったんですか?」
『あ、ああ、なんか海外へ行きたいとか、タイが良いとか言ってたぞ』
「タ、タイ…」
そうつぶやくと、吉澤はぼうぜんとした表情で電話を切った。
もちろん、その後、掛かってきた矢口の電話に出ることはなかった。
そして、吉澤は隣にいる紺野をうつろな表情で見つめた。
「どうしたんですか吉澤さん?
まさか矢口さんが証言しないって言ったんですか」
「ううん…タイ…だって…」
「タイ?ですか?」
「梨華ちゃんホントは温泉旅行じゃなくて、タイに行きたかったんだって…」
「タイ……まさか!!」
紺野はそう言って目を見開いた。
そして2人は、声を合わせて言った。
「「性転換手術!!」」
車の後部座席であれこれと、熱く語っている2人にまわりのメンバーは、近寄ることすらできないでいた。
もちろんおかしいのは、熱く語っている2人なのだが…。
そんな2人の会話を聞いて、加護がため息をつきながら辻に言った。
「なぁのの」
「へい、なんれしょう」
「春やなぁ」
「そうれすねー、春れすねー」
そう春はまだ始まったばかり。
みなさんも春には気をつけてくださいね。
「よし紺野、まずは作戦会議だ!!
インタビューを受けるときは、隠しカメラを忘れるな!!」
「はい!完璧です!!」
春はおかしな人が出てきます。
皆さんの周りにはいませんか?(笑
おわり
■ 作者コメント
バカな話しですみません。
以上です。(w
ひーちゃんおめーーーーー!!!
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