�@WATCH YOUR STEP（by「FIGHT or FLIGHT」)

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眠い。
あたしは眠いんだ。
だからそっとしていて。
あたしの耳元で騒がないで。

「ねーねーよっすぃー。このピアス昨日買ったのー。似合うー？」
「吉澤さーん。クッキー焼いてきたんですけど、ひとつどうですかー？」
「やだぁ。よっすぃーまたジャージで着たのぉ？しんじらんなーい！」

うるせぇうるせぇうるせぇ。

あたしは眠いんだ。
明日になったら聞いてやる。
ボーイフレンドごっこをしてやる気分じゃないんだ。

まとわりつくな。
眠らせてくれ。

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ちょっと待ってよ。
話が違う。
気持ちは分かるよ。
でもあたしの頭の上で話すんじゃない。

「吉澤また太ったんじゃない？どういうつもり？」
「プッチの新曲また延びたから。いつ出るかなんてわかんねぇなぁ」
「本番中にぼーっとするな。オマエ、娘。の自覚があるのか？」

うるせぇうるせぇうるせぇ。

そんな服を着るのはごめんだよ。
勝手に触るな、あたしの髪に。
何もかもイヤなこと、そっちの都合を押付けるのはやめてくれ。

あたしの気持ちもすこしは聞けよ。

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いいかげんにして。
もうガマンできないよ。

あたしは立ち上がる。
鏡の中には18になったばかりの青白い顔。
メイクを落とし、帽子を脱ぎ捨て、お気に入りの服を着る。

うんざりさ。
ここのルールも付き合いも。

あたしは出て行く。

背中にかけられる、誰かの声ももう聞こえない。
話はなしだよ。
無駄なことだよ、もう何も聞こえない。
もう何も聞きたくない。

顔を上げて街を歩く。
誰に見られても構わない。

あたしの世界に戻るよ。

あんたたちはあんた達の世界で踊っていればいいさ。
勝手にお祭騒ぎを続けてな。

あたしは降りた。

あたしは強いよ。
勝手に喚きな。
背中にナイフを突き立てられたってくたばりゃしないさ。

あばよ、嘘にまみれた大人たち。
あばよ、可愛いだけの仲間たち。

あばよ、ここにはいられない。

おわり

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