崩れ落ちる前に(評)


折角いろんな方に感想を頂いたりしたので。
記念にと言うか、まぁ記録と言うか。残しておこうかと。
いや、それにしてもこうやっていろんな人に自分の作品を語ってもらえるのは本当に嬉しい。ありがとうございます。


『オムニバス短編集』感想用スレッドVol.6 の感想

63レス 「読み飛ばしてください」さん

03:崩れ落ちる前に

 ピカレスクロマンを魅力的にさせるには、登場人物に悪事を働かさせねばなりません。ところが考えられうる悪事など、もう全て出尽くしてしまった感があり、ちょっとやそっとのことでは読者は驚いたりドキドキしたりすることができません。
 そこで作者は、コントラストを出すために、吉澤のコドモっぽいところと対比させました。そしてその目論見は成功しました。男の出てくる話は敬遠されがちでしょうが、殺してしまえば万事OK。そのあたりの気配りも作者は忘れていません。
 映画「俺たちに明日はない」のような古典的な場面が続きますが、それも吉澤のコドモっぽさ際立たせる道具に過ぎません。おそらく、彼女は永遠にそうなのでしょう。
ピカレスクロマンって何か分からなくて調べちゃったよ。要するに勧善懲悪の反対みたいな意味でいいのかな。
っていうか、実際はそこまで深く考えてなかったんですが、「吉澤のコドモっぽいところ」を書いたっていうのは言われてみると、なるほどそうかも知れないと思ったり。うん。確かにひーちゃんの危うさっていうのはかなりイメージしてました。
「少年」を殺したのは(別に死んだとは敢えて書きませんでしたが。もしかしたら生きているかもしれません)別に男×娘。が嫌な人を考慮したわけじゃないですけどね。成り行きです。
古典的な場面が続くのは多分姫のセンスが古いからです。意図はないです。


68レス 「デフォルトくん」さん

03:崩れ落ちる前に
少年と吉澤が駆け落ちしようとして失敗する話。
男×娘。をあまり読まないので新鮮だった。
少年の身柄をはっきりさせず、最初から最後まで「少年」で突き通してたのは結構好きだった。
ラストは予想できる展開。少年の死も予想できた展開。
前置きに対してラストが少し弱かった気がした。盛り上がりに少し欠けた。
でも吉澤は生き残って、最後の「生きる前に殺されてしまった少女」という言葉は好きだった。
秘密という言葉は使われていたが、テーマとしては使われてなかったように思う。

「少年」の名前を出さなかったのは(って別に考えてなかったですけど)どんな名前にしてもオリジナルの名前を出すと一気に嘘っぽくなるかな、と思ったので。
あまりどんでん返し的なことは考えて無かったです。雰囲気を楽しんでもらおうかと。
ラストが弱いのは状況&情景萌えで描き始める姫の悪い癖のようです。今回は「拳銃を撃つひーちゃん」が書きたかっただけだったりして。
テーマについてはその通り、全く考慮してませんでした。書き上げてから、これじゃ秘密じゃないじゃんと思って、最初と最後に「秘密の恋」というフレーズを入れただけだったり。


78レス 「B」さん

03 崩れ落ちる前に
終幕感が漂う話。とっかえっ娘。の保田とエンケンのシーンのようなモノトーンな情景が浮かんできた。
あるフレーズが何度となく繰り返されているが、個人的にはその前にある長たらしい会話の中に男のセリフとしてそのフレーズを盛り込んでほしかった。そしたら、もっと意味の強いものになった気がする。そしてその会話に何の意味があるのかがわからないので知りたいところ。
娘。のシーンと少年のシーンとの対比の対照性は狙ったものだろうけど、俺はどうもしっくりこないかな。

「>その前にある長たらしい会話の中に男のセリフとしてそのフレーズを盛り込んでほしかった」なるほど!もうちょっと早く言ってくれたらそうしてたのに。みたいな。あのフレーズはふと頭に浮かんで改行代わりくらいの気持ちで入れただけです。(書いてる自分にとって)テンポがよかったので。
会話文の意味は。自分は基本的に娘。小説だろうと普通の小説だろうと殆どじっくり読むことをしない人間なので、読者を信用していないのです。もちろんこうやって感想をくれたりしっかり読み込んでくれる人もいますけど。だから、細かいことをいちいち説明しないと気がすまないのです。自分が「何がどうなったか分かりづらい話」がキライなので。
今回の場合は「ふたりはグルでカケオチすること」「ピストルを手にいれたこと」「どこに行くのか」を説明するための会話だったんです。
ま、それが長たらしいと感じられたのは単なる力不足ということで。


82レス 「名無し毒者」さん

03 崩れ落ちる前に
序盤には期待し、吉澤と少年のやりとりには、わくわくした。が、終盤がいかにもつまらない。わざとステレオタイプに書いたのだろうけど、序盤の頭脳勝負が単なる暴力の応酬にスライドしたのが残念だった。しかもヤクザ弱すぎ。どうせステロタイプにするのならコメディ映画の悪役のような台詞以外の、プロらしさを感じたかった。
ラストの1レスはブラックで良かった。それだけに、その前の喜劇めいた部分が気になる。作者の意図するところかと思うが、ここはステレオタイプにシリアスにキメて欲しかった。少年と吉澤の会話のなかにある冷たいものが生かし切れてないのも勿体無い。
少年はもっとワルであって欲しかった。定型を踏襲した上での定型破りを期待していた。終わりに近付くにつれ、どんどんフツーのよくある話になったのが残念だった。

ね、序盤の特に少年のシーンは自分でもちょっと上手いな、と思ったんだよね。しかも軽く酔っ払ってたし。ただ、序盤も頭脳勝負だったかと言われると違うような気もするけど。
それにしてもヤー君はそんなにベタだったか。まぁ確かにヤー君の描写、セリフは手を抜いてたかもしれんな。ただ、ここで言うのはずるいけど多分ヤー君は死んでません。つーか殺してたらいくらUFAでもひーちゃん復帰させれないと思うし。「少年」が死んだかどうかは微妙だけど。
喜劇めいた部分ってのはどこかな?ヤー君のとこかな?全然意図してません。大真面目に「カッコいいショートフィルム風」な話を書いたつもりだったんですが。
「少年」をこれ以上ワルにさせるつもりはないですね。真っ直ぐで純真な不良少年のつもりで書きましたし。だからこそふたりは破滅したんではないかと。


174レス 「簡素な感想」さん

崩れ落ちる前に

なんかカッケーって感じ。
全体に背伸びして書いたという感じが拭えなかったけれど、
それがアイドルと不良少年の秘密の恋の不器用さというか
危うさを醸し出している思ったよ。
途中、セリフだけで話を構成していくところや、短いセンテンスでつないで
いく作者の独特の文体は、変な言い方だけども、『とんがった文章』だと思った。
ハードボイルドだね。それから個人的には不良少年の偽悪ぶった所がちょっとツボにはまった。

しかし、吉澤は本当に恋愛問題というか素行不良で馘になりそうだから、
洒落になってないよな。

背伸びして書いた感じかぁ。確かに普段の文章よりは1,5倍増しくらいカッコつけて書いたかも。三人称だし。つーか今年30なのにまだ背伸びしないといけないのかと。成熟しろよ、自分。
少年の「偽悪ぶった所」っていうのは上手い言い回しだ。嬉しいです。そーゆーイメージでした。
「>洒落になってない」反対に、そういう最近のひーちゃんのダメダメ感からインスパイアされて書いたりしたんですけどね。そういうひーちゃんがたまんないんだけど。


210レス 「感想?書きます」さん

03 崩れ落ちる前に

初め、吉澤が悪い男に騙される話かと思っていたら、実は騙されたのは事務所側であったという二重とラップがしかけられ、さらに、吉澤が少年を騙しているのではないか、というオチを期待していたら、お人形さんになってしまった悲しいお話。
何度も期待を(良い意味で)裏切られ、楽しく読めました。

実はそういう風に読んでいただきたかったという感想どうもありがとう。あ、でも吉澤が少年をだましてるっていうのは別に意図してなかったかも。なるほどという感じです。あーよかった。


220レス 「今更感想かよ!」さん

03 崩れ落ちる前に 男×吉澤ですね。男×娘は基本的に好きではないんですが、「少年」が抽象的なせいかそれほど抵抗はなかったです。
これもまた、後味の悪さみたいのが印象的でした。

どうやら「男×娘。」と「俺娘。」は違うらしいですからね。「俺娘。」は姫も苦手です。
後味悪いですね。本当はヤー君に向かって銃を撃つ吉澤で終わろうかと思ったんですがそれではあまりにもすわりが悪かったので、思いつきであのラストになったんですが。それでより一層ダークになってしまいました。


【秘密】飼育第11回短編集感想スレ【secret】 の感想

4レス 「ななしーず」さん

03. 崩れ落ちる前に

緊張感ある書き出しに期待が高まる。ノワール小説っぽい展開にさらに増す期待感。
だが、後半にかけての流れは、よく言えば王道に則って期待を裏切らない。
悪く言えば、予測の範囲を出ず新鮮味に欠けるという展開に。
文章力は高く、臨場感溢れる描写が読者を引き込む。
一方で、後半、歌詞のようにリフレインされるフレーズが面白みに欠け、繰り返されることによる効果があまり出ていない。
さて、何よりも問題なのは吉澤の行為が説得性に欠けることだ。
せっかくスピード感ある描写で引き込んでいくのに登場人物に共感できないのでは、文章が生かされない。質の高い情景描写、あるいは行動描写の書き手にありがちだが、論理的な背景を持たない文章はそれ自体が一人歩きして浮ついた印象を与えかねない。
ここでは、どうあっても吉澤がなぜ逸脱していくかについての背景についての説明がなされなければ、読者の共感は得られない。それがあれば高い文章力が生きてくるだろう。

秘密って書いてあるのにリンクしちゃっていいのかなぁ。しちゃったけど。
文章力は高いって。わーい。文章を褒められるのが一番うれしい。話の内容については語られるのは好きだけど、だからって変えたりしないし。
にしても、例のフレーズの繰り返しは不評だなぁ。まぁ、なにか意味があってというよりは「はーいここが盛り上がりのポイントですよー」みたいなつもりで。書いてる方としては勢いと言うかテンポをつけるつもりだったんですが、それが返ってテンポを悪くしたみたいで。確かに後で数えたらちょっと多すぎたか。
吉澤の行動の説得性については。これはもういかんともしがたいことだと思います。自分はひーちゃんヲタで、最近の彼女を見てそういう危うさとかダメさを感じたから書いたのであって、ひーちゃんヲタじゃない人や、ひーちゃんを見てそう感じない人には説得力がなくても仕方ないかなと。ここでそれを説明したら、自分にとってはそれでもう娘。小説じゃなくて、「娘。の名前を借りた小説」になっちゃうと思うし。したら書く意味がなくなっちゃう。
人によって「娘。小説」の定義は違うと思いますけど。姫にとって娘。小説を書くというのは、見たいけど見れない娘。(ってゆーかひーちゃん)の姿を脳内補完するっていう、非常にヲタ臭いというか、同人くさい行為なんだ、と。


毒者オンライン日記 の感想

18レス 「名無し毒者」さん

■主要人物:吉澤ひとみ、少年、ヤクザ、矢口麻里、石川梨華
□キーワード:アンリアル、男×娘。
■秘密:吉澤と少年の逃避行
□文章の特徴:短文、改行せず、!のあとの空白なし、前後1行空けて擬音、行頭字下げなし

自らのスキャンダル写真をネタに事務所から口止料を引き出して、少年と二人で逃避行をするが失敗し、敢え無く日常に戻る吉澤の物語である。

短い中に短文を連ね、テンポよく小気味よく物語が続いていく。面白い。しかし、ちょっと待てよ。
この作品には、作中の「いままでのツケを払わせてやる」や「生きてはいない少女、生きる前に殺された少女」、またタイトルの「崩れ落ちる前に」から推測される、抑圧されたアイドル像の描写が一切ないのだ。
6レス目で描かれた日常描写が、生きる前だったのだろうか――

構成にもやや不満が残る。吉澤の物語と少年の物語の縫合がうまくいってない印象を受けるのだ。主従でいうなら吉澤が主であるべきだが、実際の行動の殆どを少年が起こしているため、従であるべき少年の比重がかなり重くなっている。
縫合の不調和は二人の会話に一番よく現れている。多大な情報を折り込もうとしすぎて、テンポを殺しているのだ。行動描写の力強さに比べ、会話のシーンは些か冗長であるように思う。会話の内容はとても魅力的ではあったのだけど。
繰り返されるテーマソングのようなフレーズにも、不調和を感じた。
文章には気持ちいいぐらいのリズムを感じるが、構成の不調和のせいでもたついた印象を持った。

物語のなかにあるすべての因果(ピストルの入手まで!)を作中に折り込んだ姿勢はものすごくよい。閉ざされた世界のなかにいる吉澤の閉塞感と物語の閉ざされ具合がよく似合う。

まず、これってリアルだよね?リアルのつもりで書いたんだけど。姫は多分アンリアルは書きません
ひーちゃんの描写がないのはひとつ上の感想の感想に書いた通りです。
5レス目以降の日常描写は、姫が普段感じる「アフォなひーちゃん」と「危ういひーちゃん」の対比にアフォな方を書いたつもり。あと彼女のバランスの悪さも。後は、「これは秘密の恋なんだよー」ってことの説明かな。
主とか従とかは、表面的には話の展開上こうなってしまったとしか言えない。けど、書いているうちにどんどん架空の人物の「少年」のイメージが自分の中で強くなってしまって、それが出てしまったのかも。でも彼が薄っぺらいとこの話も薄っぺらくなってしまいそうな気も。
会話部分は、一番書いてて楽しいところだったのと、いろんな説明がしたかったのでつい冗長になってしまったカンジ。もうちょっと削るべきかもと思ったけど好きなだけに削れなかった。ちなみに描写を一切無くしたのは、やっぱ男といちゃいちゃしてるところをあんまり丁寧に描写されるのは嫌かな?と余計な気を回したのと、文字数制限が気になったのと(やっぱり会話を削りたくなかった)、クライマックス前の淡々とした雰囲気を狙ったのと、最後の「電熱線の明かりでキスするふたり」というシーンが気に入ったからでした。全然狙い通りになってなかったとしても。
「>物語のなかにあるすべての因果(ピストルの入手まで!)を作中に折り込んだ姿勢はものすごくよい」
ちょっとブラックっぽい、普段書かないミニシアターモノの映画みたいな雰囲気を目指しつつ、でも話の展開はきちんと説明するというのを目指してたので、この評価はちょっと嬉しい。


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